下痢などがきっかけで肛門の小さな穴に細菌が入り込み膿がたまってしまうと肛門周辺が炎症を起こしてズキズキと痛みひどくなると高熱が出ることもあります。肛門周囲膿瘍と呼ばれメスで切開すると一時的に膿が引き症状は収まりますが、多くの場合その後痔瘻(じろう・一般に「あな痔」とも呼ばれます)に進行します。
膿がさらにたまると、肛門の近くにトンネルのような穴が開き、そこから膿が外に出てくるようになります。下着が汚れることで、便が漏れたと勘違いする人もいます。一度できてしまったトンネルは、自然にふさがることはなく、いつまでも膿が出てきたり、収まったと思ったらまた腫れて繰り返し膿が出るようになります。
痔瘻に関しては、完治させるためには手術以外の方法はありません。手術に躊躇して長期間放置しておくと、トンネルが枝分かれしてさらに複雑になったり、まれにはガン化することがあります。これは、基本的に悪性度の低い痔核や裂肛との大きな違いです。肛門のガン自体は非常にまれなのですが、痔瘻ガンは悪性が強く怖いものです。
また、痔瘻の手術は肛門科の中でも難しい部類に入り、再発や後遺症などのリスクは低くありません。ひとえに医師の経験と技術によるところですので、万一痔瘻になってしまったら、“痔瘻治療の実績の高い肛門科”を重視して受診先を探すことが重要です。
なお、痔瘻は比較的男性に多く病巣が比較的浅いT型から深部に及ぶW型までの4段階に分けられます。進行するほどに複雑化し、症状も重く手術も難しくなります。痔核とも裂肛とも何か違う・・と感じたら、早めに専門科を受診した方がよいでしょう。